八木死刑囚の再審認めず=埼玉・本庄保険金殺人―東京高裁

埼玉県本庄市の連続保険金殺人事件で殺人などの罪に問われ、死刑が確定した八木茂死刑囚(65)の再審請求即時抗告審で、東京高裁(村瀬均裁判長)は31日、再審開始を認めない決定をした。
 
 即時抗告審では、確定判決が毒殺と認定した元工員の臓器の再鑑定を実施。肺のほか複数の臓器からもプランクトンが検出され、「死因は水死」との結果が出ていた。
 村瀬裁判長は再鑑定について、「遺体解剖時に臓器の内側までプランクトンが付着した可能性を完全に排除できたか、疑問が残る」と指摘した。
 八木死刑囚は一貫して無罪を主張していたが、一、二審で死刑となり2008年に最高裁で確定。弁護団が09年、再審請求した。さいたま地裁が10年に請求を退けた後、検察側が臓器を保管していることが判明し、東京高裁が再鑑定の実施を決定した。
 確定判決などによると、八木死刑囚は女3人と共謀。1995年、元工員の男性=当時(45)=にトリカブトを混ぜたパンなどを食べさせて殺害し、保険金約3億円をだまし取った。98、99年には別の男性=同(61)=に連日、大量の風邪薬と強い酒を飲ませて殺害したほか、元塗装工を重体に陥らせるなどした。