LINE:IPO協議を再開、日本郵政にらみ年内早期上場も

スマートフォン向け無料通信アプリを運営するLINE(ライン)が新規株式公開(IPO)へ向けた協議を再開したことが分かった。複数の関係者によれば、日本郵政グループの大型IPOをにらみ、年内早期に日本と米国で同時上場したい考えだ。

昨年上場を見送ったLINEは、野村ホールディングス、米モルガン・スタンレーなど主幹事証券と、今後投資家の需要動向を勘案し、上場時期や売り出し規模など詳細について本格的に協議する。関係者によれば、2兆円規模に上る日本郵政のIPOが2015年度半ば以降に計画されていることから、それより早い9月ごろまでの上場を目指す。

日経平均株価は2万円を超え投資家の日本株への関心は高く、日本郵政やLINEなど大型上場のための環境は整いつつある。LINEは昨年9月、さらなる成長のため海外を含めた事業展開が優先事項であるとして年内の上場を見送っていた。同社の親会社で韓国最大の検索サイトを運営するネイバーは7月、東京証券取引所と米証券取引委員会(SEC)に上場申請を行ったことを明らかにしている。

LINEの桃木耕太広報担当は、「上場するかどうか、また時期についても決定した事実はない」と回答した。引き受け主幹事のモルガンSと野村の広報担当者はそれぞれコメントを控えた。

東京、ニューヨーク

関係者によれば、LINEは東京とニューヨークでの同時上場を軸に検討しており、株式公開後の時価総額は少なくとも1兆円を超える可能性がある。

LINEの3月の月間利用者数は世界で約2億500万人。日本、タイ、台湾、インドネシアでの利用者数が全体の半分以上を占める。一方、米フェイスブック傘下のメッセージアプリ「ワッツアップ」は同8億人、中国テンセント・ホールディングス傘下の「微信(ウィーチャット)」は5億人となっている。

LINEの15年1−3月期の売上高は、前年同期比70%増の281億円だった。14年の売上高は、前年の2倍以上の863億円。

LINEは、タクシー配車サービス「LINE TAXI」や、モバイル送金・決済サービス「LINE Pay」、アルバイト求人情報サービスの「LINEバイト」などのサービスを新たに展開するなどして、ユーザー数の拡大を図っている