大塚家具 久美子社長、父母から非難受け笑みなき勝利

■株主からの和解提案むなしく

 創業者で会長の父と、現社長の娘が対立し、委任状争奪戦という異常事態となった大塚家具の定時株主総会。株主からは和解を求める声が上がったものの、大塚久美子社長と大塚勝久会長は、ともに厳しく相手を非難し、対立の溝の深さばかりが目立った。(平尾孝)

 午前10時に始まった総会では、まずグレーのスーツ姿の大塚久美子社長が経営状況などを説明。30分後に株主提案の議論に入ると、今度は提案者の大塚勝久会長が発言した。

 勝久氏は「今回の問題は、私の不徳のいたすところ」と株主に対して陳謝。その上で「今年1月の(勝久氏から久美子氏への)社長交代はクーデターだ」と、久美子社長らを非難した。これに対し、久美子社長は「(社長交代は)取締役会の決議で行われた。発言は不穏当だ」と激しく反論した。

 その後の質疑でも、勝久氏は「久美子社長の提案する経営陣では、仕事ができない」と攻撃した。さらに勝久氏の妻・千代子氏も「(久美子氏では経営が)できない。あと、社員さんをいじめないでください」と批判するなど、親子の対立はさらに深刻化した。久美子社長への支持を明確にした株主の言葉に、久美子社長が涙ぐむ一幕もあった。

 見かねた一般株主からは「会長が進めた富裕層向けのビジネスと、社長のいうカジュアルな製品の両方をやればいい」と、融和を求める声も相次いだ。

 総会は約2時間半で質疑を打ち切り、マークシートによる投票が始まった。午後1時7分。久美子社長は壇上に戻り「会社提案が全て可決された」と結果を報告したが、その表情に笑みはなかった。