エコカー減税厳格化、新車販売に警戒感 一部のHV以外はほとんど“増税”対象

20150223-00000014-biz_fsi-000-2-view2015年度からエコカー減税の基準が厳格化され、多くの車種で税負担が重くなる。特にミニバンなど車両重量が重い車種は影響が大きく、数万円単位でユーザー負担額が大きくなりそうだ。消費税増税後の需要低迷が回復しないまま迎える一層の負担増により、新車販売が落ち込むのは避けられない。ディーラーでは変更前の3月までに駆け込み需要を取り込もうと販売競争が激しくなっている。

「一部のハイブリッド車(HV)以外はほとんど“増税”対象だ。15年度の販売は非常に厳しくなる」。日本自動車販売協会連合会の桜井誠己会長は23日の記者会見でこう述べ、新制度に警戒感をあらわにした。

エコカー減税は、国土交通省が定める排ガスと燃費の基準値をクリアした車に対する優遇税制。新車購入時にかかる自動車取得税と、車検時などにかかる自動車重量税が減免される。15年度税制改正ではこの基準が厳格化され、減免税を受けるにはより高い燃費性能が必要になった。

ミニバンやスポーツ用多目的車(SUV)などは車体が大きいうえ、小型車のように燃費性能も高くないため税優遇が大きく縮小される。例えばホンダのミニバン「オデッセイ」の場合、従来基準では取得税、重量税ともに免税対象だったが、新基準では取得税で40%、重量税で25%しか減税を受けられなくなる。1年目のユーザー負担額は7万4900円増加する計算だ。

一方、トヨタ自動車「アクア」「プリウス」やホンダ「フィット」といった主要HVモデルは影響を受けない。また、スズキ「アルト」など軽自動車でもHV並みの燃費性能を持つ車種はむしろ負担額が下がり、新基準は追い風になる。

多くの車種で税負担が増える新基準は販売現場にとって「マイナス面の方が強い」(自販連幹部)。好調にシェアを伸ばしてきた輸入車にも逆風で、エコカー減税を受けられる車種は全モデルの約7割から約3割まで目減りする見通し。

制度変更を間近に控え、一部のディーラーでは負担額が増える車種の“駆け込み需要”も狙い、戦略を打っている。日産プリンス東京販売駒沢店(東京都世田谷区)では、人気車種「セレナ」や「ノート」の影響をまとめたパンフレットを示し、3月までの購入を促す。桑田正男店長は「せっかくなら浮いたお金で家族で温泉に行きましょうよ」と売り込みをかけていると話す。