愛知県警が無断でGPS 男性が提訴、県は棄却求める

愛知県警が無断で自家用車に全地球測位システム(GPS)端末を取り付け、プライバシーを侵害されたとして、名古屋市守山区の男性(21)が県に約140万円の賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が19日、名古屋地裁であった。県は請求の棄却を求めた。

 訴状によると、原告の男性は今年3月中旬、自宅マンションの駐車場に止めていた乗用車の底に、磁石とともにGPS端末が取り付けられているのに気づいた。GPS端末は大手警備会社が貸し出しているもので、約1週間前に確認した際には取り付けられていなかった。相談を受けた弁護士が愛知県弁護士会を通じて警備会社に照会したところ、県警がGPS端末を借り受けていたことがわかったという。

 原告側は、車の動きを監視する捜査は現行法では認められておらず、違法だと主張。約1週間にわたって行動を監視され、プライバシーを侵害されたことの慰謝料を支払うよう求めた。

 GPS端末を使った捜査手法は、必要があれば許容されるという意見と違法な人権侵害だという意見があり、福岡地裁でも裁判になっていた。弁護士は口頭弁論後、「根拠となる法律がないのに、警察が独自の判断でGPS端末を取り付けるのは行き過ぎだ。認められれば監視社会になってしまう」と批判した。

 県警によると、スマートフォン窃盗事件を捜査する過程でこの車が浮上し、GPS端末を使用したという。