モヤシ 生産者「安値限界」 スーパーなどに値上げ訴え

価格が安く「庶民の味方」と呼ばれるモヤシの生産者が、原料の緑豆(りょくとう)の高騰で苦境に陥っている。原料高騰の一方で、スーパーなどの小売価格は下落しており、生産者の収入が大幅に減っている。モヤシ生産者でつくる「工業組合もやし生産者協会」(東京)は、「限界を超えている」としてスーパーなどに値上げを訴えている。

同協会によると、日本産モヤシの8割強がマメ科の植物である緑豆を発芽させたもので、主に中国から輸入している。中国国内で、より実入りの多いトウモロコシへの転作が進み、緑豆の生産量が減少したため、産地での価格は前年に比べ3割以上も上昇。そこに急激な円安も加わり、緑豆の輸入価格を押し上げている。

 一方、スーパーなどでの小売価格は下落が続いている。総務省の調査によると、11月の東京都区部のモヤシの小売価格は税込みで1キロあたり151円と、消費増税前の3月の152円よりも安い。円安などで食料品値上げが続く中、低価格が売りのモヤシの値上げには踏み切りづらいのが現状。モヤシの特売を目玉にしているスーパーも依然として多い。生産者は卸売価格を引き上げることができず、原料高騰の負担をすべてかぶっている状況だ。

 同協会によると、原料高騰などで生産者の廃業が増加しており、2009年に200社以上あった全国のモヤシ生産者は、現在は150社を切った。協会は全国のスーパーなどに苦しい現状を訴える文書を送付し、卸売価格や小売価格の値上げを要請。「先月もある生産者が廃業に追い込まれるなど厳しい状況だ。どうか値上げに理解を示してほしい」と訴えている。