スカイマーク 日航と提携交渉 共同運航、国交省は難色

経営不振に陥っている国内航空3位のスカイマークが日本航空と提携交渉に入ったことが21日、分かった。スカイマークの羽田発着路線の一部を日航と共同運航することが提携の柱となる見込み。スカイマークは日航の顧客の取り込みが期待でき、日航側も搭乗者が多い羽田の発着枠を実質的に増やせるメリットがあると判断したとみられる。ただ、国土交通省は公的支援を受けて再建した日航による支援に難色を示しており、提携交渉は難航も予想される。

スカイマークは同日、「日航に提携の相談をしているのは事実」(広報担当)とコメント。日航関係者も「スカイマークとの共同運航を国交省に相談している」と交渉を認めた。

 共同運航はスカイマークが今年6月に導入した欧州エアバスの中型機「A330」を使う便が対象とみられる。スカイマークはA330を4機保有しており、羽田−福岡、羽田−新千歳で運航。日航との共同運航で搭乗率を高める狙いがある。提携は業務面だけにとどまり、日航から資本は受け入れない見通しだ。

 公的資金を投入されて再建した日航は、2016年度まで新規投資やM&A(企業の合併・買収)などについて国交省への報告が義務づけられるなど、政府の監視下にある。国交省は「公的支援を受けた日航によるスカイマーク支援は公正な競争をゆがめる」として、共同運航の見直しを求めており、交渉は曲折もありそうだ。

 スカイマークは、格安航空会社(LCC)との競争激化や円安による燃料費高騰などで経営が悪化。15年3月期は136億円の最終赤字に転落する見通し。業績悪化に伴い、エアバスの超大型機「A380」の購入延期などを求めているが、約7億ドルの違約金支払いを求められる懸念がある。

 旅行会社、エイチ・アイ・エス(HIS)の澤田秀雄社長(当時)などの出資で1996年に設立された航空会社。機内サービスを簡素化するなどして航空運賃を大手の半額程度に抑え、98年に羽田−福岡線に就航した。

 しかし、規制緩和で登場した格安航空会社(LCC)との競争激化などで業績が悪化。2003年10月、インターネット関連企業「ゼロ」の西久保慎一会長が第三者割当増資(企業が特定の相手に株式を割り当てること)を引き受け、04年1月に社長に就任した。近年は、円安の進行に伴う燃料費高騰などで業績が再び悪化。エアバスと機体購入を巡る交渉が長引いており、14年9月中間決算では事業継続に「重要な疑義」があるとした。