富士フイルム、米ワクチン製造会社買収 エボラなど感染症向けが得意

富士フイルムは27日、バイオ医薬品受託製造会社で、ワクチン製造に強みを持つ、米国のケイロン・バイオセラピューティクス社(テキサス州)を買収すると発表した。買収額は非公表だが、数十億円規模とみられる。

 富士フイルムは、ケイロンがエボラウイルスや炭疽(たんそ)菌などの感染症向けワクチンを安全、安定的に製造できる点を評価し、買収により世界的な事業拡大が見込めると判断した。

 米子会社の富士フイルムダイオシンスバイオテクノロジーズを通じて買収する。今後、数カ月内にケイロンの全持分の49%を取得するとともに、ケイロンの取締役の過半数を富士フイルムグループから任命する。さらに、今後、持ち分比率を100%まで引き上げていく予定。

 バイオ医薬品の受託製造の世界市場は、足元で約2千億〜3千億円規模とされ、今後年率7%の上昇が見込まれる有望市場。富士フイルムとしては、今回の買収を含む事業強化により、2018年度には、同市場で10%のシェアを確保したい考え。

 富士フイルムホールディングスの医療機器を含めたヘルスケア事業の13年度の売上高は3800億円。これまでも、グループの富山化学工業がエボラ出血熱の治療にも使われている抗インフルエンザ薬を手がけるなど医薬品事業を強化しており、買収により、さらに事業領域を拡大する。