海外工場のずさん管理、危機招く=タカタの欠陥エアバッグ

自動車部品メーカー、タカタが製造したエアバッグの欠陥をめぐる問題が米国で深刻化している。
 運輸当局は問題のエアバッグを搭載した車約780万台の所有者に対し、すぐに修理するよう異例の声明を発表。議会も調査に着手した。危機的な状況を招いたのは、タカタが海外展開を急いだ2000年代初頭のずさんな管理体制だ。
 問題のエアバッグは、主に00〜02年に米国とメキシコの工場で生産された。エアバッグを膨らませるガス発生剤の製造過程で、不良品を除外する装置を作動し忘れたり、2回必要なプレス工程を1回省いたり、保管時に湿度の管理を怠ったりといった初歩的なミスが相次いだことが欠陥の原因だ。
 タカタの最大の取引先であるホンダは、08年以降に9回リコール(回収・無償修理)を実施。リコール発表後に対象外のエアバッグで事故が起こり、新たな製造ミスが発覚、リコールを繰り返す事態に陥った。さらに、タカタ側の記録の不備が原因で一部の欠陥品の流通先が特定できず、リコール対象が拡大。09年にはエアバッグが破裂して金属片が飛散する事故で2人が死亡した。
 タカタは現在、約20カ国で50カ所以上の生産拠点を持つ。問題が起こったのは、海外拠点を急増させていた時期だ。09〜10年のトヨタ自動車の品質問題も、急速な海外展開が一因とされた。タカタの危機は、グローバル化を急ぐ中で品質管理を徹底することの難しさを改めて示した。