「逃げる間もなかった」死亡女性の母 三田だんじり事故

三田天満神社(三田市天神3)で5日に起きただんじり事故で、亡くなった奥田真理子さん(47)=同市西山2=は、子どものころから祭りが好きで、秋が来るのを楽しみにしていたという。事故当時、一緒に見物していてけがをした母の梶田美恵子さん(72)=同市天神3=は「(左後ろにいたので)逃げて助かっていると思っていたのに」と声を詰まらせた。

真理子さんの父、源一郎さん(76)によると、真理子さんは夫(58)と長女(24)、次女(14)の4人暮らし。子どものころから毎年秋祭りを楽しみにしていたといい、5日朝から神社近くの実家に帰省していた。

 この日は親族が集まることから、美恵子さんと一緒に買い物や料理を済ませ、その後、だんじりの宮入りを見に行ったという。

 美恵子さんは真理子さんと一緒に見物していた。だんじりが境内に入ってきた際、「とても近くまで来ているな」と少し不安を感じた次の瞬間、手水舎(てみずしゃ)の柱が傾き、屋根が落ちてきたという。「逃げる間もなかった」。美恵子さんは、手水鉢が屋根を支えるようにしてできた空間に倒れ込んだため、背中を打つ軽傷で済んだ。

 源一郎さんは「無念でならない。15人が下敷きになって、ただ1人で背負うかのような死だった」と声を落とした。