「クール宅急便で菓子とけた」 業者がヤマト運輸を提訴

ヤマト運輸の「クール宅急便」で配達された商品が解凍され売れなくなったとして、福岡市の洋菓子製造・販売業者が22日までに同社を相手取り、慰謝料100万円を含む総額約250万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。

 洋菓子業者は同市城南区に本社兼工場があり、全国の百貨店などで出張販売をしている。訴状によると、今年5月、札幌市の百貨店から、出張販売で残ったプリンやロールケーキなど計744個をクール便で本社や次の出張販売先に発送。受け取った際に、大半が解凍されて変形するなどしていた、と主張している。

 業者によると、「冷凍タイプ」のクール便はあらかじめ冷凍した荷物を零下15度以下で配達する契約。商品が解凍されて届くことがこれまでにも複数回あったといい、ヤマト側に苦情を伝えたが「配達方法に問題はなかった」との返答だったという。

 これを不服とした業者が7〜8月、洋菓子の箱に測定機器を入れてヤマト運輸に配達を依頼。計19日間にわたって途中の温度変化を調べたところ、3時間50分を最長に1時間以上0度を超えた時間帯が、少なくとも5回あったという。業者は現在、他の運送業者を使っている。

 ヤマト運輸のクール便をめぐっては昨秋、温度管理の不徹底問題が表面化し、同社は保冷設備の適切使用など再発防止策を定めた。同社の広報担当者は取材に「訴状が届いていないのでコメントできない。信頼回復に向けて取り組んでおり、お客様にご迷惑をかける事案があれば真摯(しんし)に対応している」と話した。今回提訴した業者と同じコンテナで運んだ別の荷主からの苦情はなかったという。