力強さ欠く個人消費…政府シナリオに狂い 新車販売9%減、百貨店も振るわず

8月の国内新車販売、大手百貨店の売上高速報が1日発表された。いずれも振るわず、夏以降に消費が本格回復するとした政府のシナリオに狂いが生じている内容となった。7〜9月期の国内総生産(GDP)は、来年10月の消費税率再引き上げの大きな判断材料となるが、その6割を占める個人消費に力強さは見られない。

日本自動車販売協会連合会(自販連)などが1日発表した8月の国内新車販売台数(軽自動車を含む)は前年同月比9.1%減の33万3471台と2カ月連続で減少した。消費税増税後の需要減退に加え、自販連が「理由は分からない」と頭を抱えるほど夏のボーナス商戦が低調で、販売低迷が長期化している。

百貨店大手3社が1日発表した8月の売上高速報は、三越伊勢丹が1.6%増、高島屋が0.1%増、J.フロントリテイリング傘下の大丸松坂屋百貨店が0.6%増といずれも前年実績を上回った。しかし前年より日曜が1日多く、通常では1%程度数値が上乗せされるため、高島屋や大丸松坂屋は実質的にはマイナスとみられている。

8月前半は週末の台風直撃や西日本の長雨で来店者数、売上高とも振るわなかった。8月下旬になると気温低下で秋物衣料の販売が好調だった。「徐々に消費マインドは改善しているが天気に大きく影響されるレベルで力強さはみえない。秋物の消費先食い懸念もあり、慎重に見極めなくてはならない」(大丸松坂屋)と先行きへの警戒感は強い。

天候不順は、野菜の価格高騰やエアコンの販売不振など消費の足を引っ張っている。「増税に伴う駆け込み需要の反動減は首都圏ではほぼ解消」(三越伊勢丹)との見方もあるが、地方の回復遅れに加え天候不順が、7〜9月期に景気がV字回復するという政府の想定に大きな壁となって立ちはだかっている。