ベネッセ流出 39歳SE逮捕 顧客情報複製疑い 警視庁

通信教育大手ベネッセホールディングス(岡山市)から約760万件の顧客情報が漏えいした問題で、警視庁は17日、顧客データベース(DB)を管理する外部業者のシステムエンジニア(SE)の男(39)=東京都在住=が関与した疑いが強まったとして、不正競争防止法違反(営業秘密の複製)容疑で逮捕した。男は警視庁の任意聴取に「持ち出した顧客情報は名簿業者1社に売却した」と供述しており、同庁は情報を不正に開示した容疑でも追及する。

 捜査関係者によると、男は今年6月、DBの操作端末があるベネッセのグループ企業「シンフォーム」(岡山市)の東京支社(東京都多摩市)で、自分のIDを使ってDBに接続。貸与のパソコンを使って顧客情報をダウンロードし、私物の記憶媒体にコピーした疑いが持たれている。

 これまでの任意聴取に対し、男は昨年12月から情報流出が発覚する直前の今年6月まで、顧客情報を持ち出していたことを認めている。「金がなくて生活に困っていたので、自分から名簿業者に持ち掛けて複数回売却した。売った総額は数百万円になった」と供述したという。

 男は外部業者から派遣されてシンフォーム東京支社に常駐。DBのシステム構築などを担当し、他のSEの指導的立場にあった。男にはDBに接続するためのIDが付与され、システムが正常に作動するかを確認する作業も業務の一部だった。その際に、営業秘密として管理されていた顧客情報をダウンロードできたとみられる。

 DBは流出防止のため、情報をダウンロードして記憶媒体に複製しようとすると「エラー」の表示が出る仕組みになっていたが、男はこの防止システムをすり抜けていたという。