カプコン副社長、人気ソフト抱え…「敵対的買収」に危機感

6月の株主総会で会社提案の買収防衛策継続が否決されたゲームソフト大手のカプコン。「モンスターハンター」「バイオハザード」など人気シリーズを抱え、敵対的買収の標的になる懸念が出てきた。最高財務責任者(CFO)を務める小田民雄副社長に今後の対応などを聞いた。(藤原直樹)

 −−平成20年に防衛策を導入してから初めて否決された

 「2年ごとに継続を提案してきたが、反対する外国人投資家の議決権比率で45%まで上昇し、採決はかなりきわどくなると考えていた。否決されたことに大きな驚きはないが、必要だと判断したから提案した」

 −−外国人株主に理解を求める活動はしたのか

 「危機感は感じていたので、昨春から1年間、株主の多い米国東海岸を中心に3回ほど説明に回った。しかし、否決されたということは、説明がまだ足りなかったのだろう」

 −−そもそもなぜ防衛策が必要なのか

 「カプコンは多くのシリーズ作品を抱え、特に海外でブランド価値を評価されている。ところが、これらのシリーズは簿外資産の扱いで、時価総額にきっちりと反映されていない。海外の投資家からは企業価値が時価総額を上回っているとの分析もある。敵対的買収の対象になる可能性は否定できない」

 −−防衛策がない状態で、敵対的買収を仕掛けられたらどう対応する

 「よく話し合って、なぜ買収するのかという部分をしっかりと聞きたい。バイオハザードなど人気シリーズのブランド価値を守っていけるのかが重要だ。買収目的が投機的なら作品の価値下落につながり、ファンのためにならない」

 −−海外では米マイクロソフト(MS)が買収に乗り出すとの観測も出ている

 「海外ではいろいろと情報が飛び交っているが、具体的な話はこれまでも現在も一切ない」

 −−来年の株主総会で防衛策を再提案するのか

 「買収に対して何らかの対策は必要だと認識している。海外だけでなく、国内投資家も一部反対に回ったので、こうした投資家への説明も尽くす。環境が整えば再提案することになるだろう」

 ■小田民雄(おだ・たみお) 大阪大法卒。昭和44年三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)。平成11年大末建設常務。13年にカプコンに入り、取締役、常務などを経て23年4月から現職。大阪府出身。67歳。