ガリレオ衛星が「月食」中に謎の発光? …すばる望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡で観測

東北大学、宇宙科学研究所、国立天文台などの研究者を中心とする研究チームは25日、ガリレオ衛星が「月食」中に謎の発光をした現象を発見した、と発表した。

この現象は、すばる望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡を用いた観測から、ガリレオ衛星(木星の周りを回る4大衛星)が、木星の影に入り太陽光に直接照らされていない「食」の状態にも関わらず、わずか(通常の100万分の1程度)に輝いているという現象。

同時に公開された観測画像は、食中にも発光が観測された木星の衛星ガニメデ(上段)及びカリスト(下段)の赤外線画像。左はすばる望遠鏡、右はハッブル宇宙望遠鏡の観測で得られたもの。各画像の視野は4秒角四方。黒丸は各衛星の観測時の視直径を示す。

このような画像が得られた詳しい原因ははっきりとは解明されていないが、研究チームは、木星の上層大気に存在する「もや」で散乱された太陽光が、ガリレオ衛星を間接的に照らしているのではないか、と考えている。これは、月が地球の影に完全に隠れてしまう皆既月食の時でも月が赤く光るのと似た現象だ、という。

今後この現象を継続的に調べることで、これまで観測が難しかった木星の「もや」の性質に迫れるだけでなく、近年数多く発見されている太陽系外惑星の大気についても新たな知見が得られると期待される。