「みんなの党」の渡辺前代表を刑事告発 憲法学者ら16人が

政治資金規正法違反 「自身と夫人の口座を”裏口座”として悪用」

「みんなの党」の渡辺喜美前代表が、化粧品会社会長から計8億円を借りていた問題で、東京地検特捜部に刑事告発された。容疑は政治資金規正法違反。あるいは公職選挙法に違反した疑いもあるという。東京地検は告発状を受理するか検討する。公党の党首に流れた巨額資金、その不透明なやり取りの全容は明らかになるだろうか。(アイアジア編集部)

刑事告発されたのは、「みんなの党」の代表だった渡辺喜美衆議院議員(栃木3区)。
2日午前、全国の憲法学者ら16人が東京地検特捜部に告発状を郵送した。
この問題は、渡辺前代表が化粧品会社DHCの吉田嘉明会長から、2010年に3億円、2012年に5億円の2回にわたり、計8億円を借り入れていたもの。

告発状によると、2012年の5億円のうち2億5000万円について、「みんなの党」の政治資金、渡辺前代表の資金管理団体「温故知新の会」の政治資金、または渡辺前代表の衆議院総選挙の選挙運動資金のいずれかであったにもかかわらず、いずれの収支報告書にも「収入」として記載がなされておらず、政治資金規正法または公職選挙法に違反している疑いがある。その他告発状では、8億円のうち計9000万円が「みんなの党」か「温故知新の会」の政治活動資金として使われたにもかかわらず、いずれの政治資金収支報告書にも「支出」として記載されておらず、政治資金規正法に違反している疑いがあるとしている。

司法関係者によると、東京地検特捜部は告発を受理する方向で検討を進めている。このため、8億円がどのような経緯で渡辺前代表に渡り、どのように使われたのか捜査が進められるものと見られる。

渡辺前代表は、「週刊新潮」がこの問題が報じた後の2014年年4月7日に代表を辞任。その際の会見で、「政治資金規正法上もなんら違法な点はありません」と説明している。また「みんなの党」の調査チームも、「渡辺前代表個人についてみれば、吉田氏からの各借入れや、当該借入金の使途については、帳簿の作成備付及び収支報告等の作成提出義務はなく、政治資金規正法上の問題は生じない」としている。

しかし、告発人の1人で「政治資金オンブズマン」共同代表の上脇博之・神戸学院大学法科大学院教授(憲法学)は、渡辺前代表を刑事告発した理由を次のように述べた。

「渡辺前代表の言い分が通用するなら、政治資金規正法は裏金を認めていることになってしまい、他の政治家は真似をするだろう。しかし、同法は、そのような抜け道を認めていない。政治資金を支出したいのであれば、原則として、必ず政治団体で行うよう命じており、個人で支出することを禁止している。選挙運動を含む政治活動のために借入れしたにもかかわらず会計責任者らに知らせず、渡辺前代表と夫人の口座を”裏口座”として悪用し、何億円もの巨額の政治資金を密かに管理しており悪質だ」。