「格安タクシー」当面継続、国の運賃変更命令認めず 大阪地裁

国がタクシーの運賃幅を決める公定幅運賃は違法として、タクシー大手「エムケイ」(京都市)とグループ3社などが国に運賃変更命令などの差し止めを求めた仮処分で、大阪地裁(田中健治裁判長)は23日、正式裁判の1審判決から60日後まで運賃変更命令と車両停止の処分を出さないよう国に命じる決定をした。国側は即時抗告する方針。今回の決定で、公定幅より安い同グループの運賃は当面維持されることになる。

 国土交通省は4月から、過当競争で悪化したタクシー運転手の労働環境を改善しようと、基本運賃を公定幅(大阪では初乗り660〜680円)の範囲にするよう義務化。近畿運輸局は今月中にも、是正勧告に従わなかったグループ4社や提携の個人14業者などに命令を出す方針だった。

 田中裁判長は判決理由で、公定幅運賃の下限がエムケイ側が届け出た運賃より60〜180円程度も上回ると指摘。「(運輸局側は)業者の利益を具体的に斟酌(しんしゃく)した上で範囲を定めたとはいえず、裁量権の濫用(らんよう)にあたる」として違法性を認めた。

 一方、エムケイ側は公定幅運賃が憲法が保障する営業の自由を侵害しているとも主張したが、田中裁判長は「健全な競争を促すための規制であり、必要性と合理性がある」と判断した。