国内自動車8社、共同でエンジン基礎研究 タッグ組んで欧州勢に対抗


トヨタ自動車や日産自動車、ホンダなど国内自動車大手8社は19日、乗用車の燃費向上や排出ガス低減に向けた基礎研究に共同で乗り出すと発表した。欧州やインドで主流のディーゼルエンジン車の排ガス浄化技術などに取り組む。競争力強化に向けて日本勢がタッグを組み、欧州勢などに対抗する。

8社はほかにスズキ、ダイハツ工業、富士重工業、マツダ、三菱自動車。一般財団法人「日本自動車研究所」も加わり、「自動車用内燃機関技術研究組合(AICE)」を設立した。今後、産業技術総合研究所も参加する見込み。

欧州では、車両性能開発や制御、エンジンといった分野で長年にわたり、自動車各社と部品メーカー、大学などが一体となって基礎研究や標準化に向けた取り組みを実施している。

日本勢も欧州勢に対抗する形で、弱いとされる標準化に向けた動きやばらばらだった開発体制を統一し、開発の効率向上や期間短縮を目指す。AICE理事長に就任した大津啓司・本田技術研究所常務執行役員は同日の会見で、「産学官連携のスキームができれば欧州勢に負けることはない」と自信を示した。

具体的な研究テーマは、ディーゼルの浄化技術、エンジンの燃焼技術の高度化、エンジン性能調査。今年度の事業費として約10億円を計上した。ディーゼル浄化技術については、経済産業省が5億円を補助、残りを自動車8社が分担する。

研究は、大学や研究機関と共同で取り組み、2020年までに二酸化炭素排出量を10年比で3割減らす燃焼技術などを開発。またエンジンの熱効率は現状の4割前後を5割に高める。20年の段階でも、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンが自動車全体の約8割を占めると判断しており、共同で基礎研究を手がけ技術の底上げを図る。成果は各社が個別に実用化する。

現在は、欧州勢がディーゼルとガソリンの両エンジンとも排気量を下げるかわりに、動力性能をターボで補うダウンサイジング技術で先行。日本勢が電気モーターを組み合わせたハイブリッド技術で対抗する形となっている。