大阪産マツタケ、絶滅の危機 府が危惧種に分類

大阪府内のマツタケが絶滅の危機にさらされている。府がレッドリスト改訂版で初めて「絶滅危惧種」に分類した。歌人の与謝野晶子が幼いころ、「取っても取ってもある」とマツタケ狩りに興じた地。庶民にも親しまれた秋の味覚が姿を消しつつある。

リストは2000年の府レッドデータブックを改訂し、菌類を対象に追加して今年3月に発行された。マツタケは近年発生量が激減。専門家らの評価で「府内で絶滅の危険が増大している種」を意味する「絶滅危惧II類」とされた。

 原因として指摘されたのは、共生相手となるアカマツの松枯れや、山を手入れする人が減ったこと。昔は炊事や風呂の火をおこすのに薪や落ち葉を集めたため、土がむき出しになることで生息しやすい環境が作られていたという。

 15年ほど前からはシカやイノシシが食い荒らす「獣害」も顕著になったと指摘するのは、能勢町の温泉旅館「汐(しお)の湯温泉」の松尾義信代表(65)。今もマツタケが特産品として挙がる同町で長年、秋にマツタケ狩りを催している。

 「30〜40年前は山の中にござを敷き、すき焼きを楽しんでもらった。座っていても手が届くところにマツタケがあった」。能勢産は笠が薄茶色で軸が白っぽく、かむと筋が残らずに細かくくずれていくのが特徴だという。

 今はマツタケ狩りの客に「予約していただいても、できないこともあります」と伝えている。「そこらじゅうに生えてた光景が頭に残ってる。今年こそ、と思って山に行くけどやっぱりあきまへん」