ノルウェーサバ、漁獲大幅増へ=大型魚の豊漁に期待

国産をしのぐほど日本で人気が高いノルウェーサバの漁獲量が、今秋から大幅に増える見通しで水産関係者の期待が高まっている。ノルウェー水産物審議会(NSC)によると、今年9月から来年2月までとなる来シーズンの同国の漁獲枠は昨シーズンの2倍近い約28万トンに決まった。
 大西洋の豊かで澄んだ海で育つサバは「厳しい冬に備えてたっぷり養分を蓄える時期から漁獲される」(NSC)ことで脂の乗りが良く、日本は40年ほど前から同国とサバ取引を開始。今では大量に消費している。
 同国の海洋調査研究所によると「近年は気候変動に伴う海水温の上昇により、魚の生息域が北上する傾向にある」という。ただ、サバの資源そのものは豊富とされ、関係者間での協議の末、大幅な増枠に至ったようだ。
 ノルウェー南西部の都市・ベルゲンにある青魚販売組合は、漁獲されたサバやニシンなどの漁場や魚のサイズといった情報をネットで買い手に示し、値決めをしてもらうオークションを運営。日本の需要は大きな魅力であるため「魚価を維持するためにも日本との安定的なサバ取引を望んでいる」(同組合)と話す。
 NSCによると日本への輸出量は、2013年が前年比10%増の5万3000トン。2位の中国などでは自国で加工して多くを日本へ輸出しているため、日本は年間10万トン以上、ノルウェーサバのおよそ4割を消費している。
 東京・築地市場(中央区)の卸会社は「ノルウェー産は昨シーズン小型魚が多く、需要が大きい400グラム以上の大型が少なく高かった」(第一水産)と振り返る。来シーズンは「大きなサバがたくさん取れれば、これまでより安く流通するのでは」(同)とみる。
 同市場の近くで和食店「千秋・はなれ」を営む小川貢一さんは、「ノルウェーサバは安定した脂の乗りが最大の特長」と話す。サバのみそ煮は看板メニューのため、大型魚の豊漁や魚価安に期待を寄せている。