海外ネット配信にも消費税 「抜け穴」に国内企業から不満の声

財務省は4日、インターネットを通じて海外から国内に配信される音楽や電子書籍に対し、消費税を課税する方針を明らかにした。現在は消費税の課税対象外となっているが、2015年度税制改正大綱に課税対象とすることを盛り込み、公平な競争環境を整える。消費税法を改正し、15年度中の実施を目指す。

 政府税制調査会が4日開いた部会の会合で、財務省が素案を示した。具体的には、日本国内の個人向けにネットを通じて電子コンテンツを配信する海外企業に対し、「納税管理人」と呼ばれる税金支払い代行者の設置を日本国内で義務付け、税金を徴収する制度を導入する。

 海外にサーバーを置く米アマゾン・コムなどのサービスは国外取引として消費税が課税されておらず、国内企業から不公平との不満が高まっている。日本の消費税率は4月に8%へ引き上げられ、15年10月には10%に増税される予定。

 日本の消費税は税関を通った輸入品には課税されているが、ネット配信は税関を通らないため課税できず、税の「抜け穴」とされていた。

 現状のままでは消費税分のコスト負担をめぐって内外で格差が広がるため、競争条件をそろえることにした。記者会見で、座長の田近栄治一橋大特任教授は「15年度の(与党税制改正大綱での)改正を目指す」と述べた。

 大和総研の米川誠主任コンサルタントによれば、海外から日本の個人や企業向けへのネット経由のデジタル配信額は12年で5119億円。単純計算で約256億円の消費税を取り損ねたことになる。