ケーキ食べ「おいしい」=東京のホテルで静養−袴田さん

1966年に静岡県で一家4人が殺害された「袴田事件」の第2次再審請求審で、再審が認められた袴田巌さん(78)の48年ぶりの釈放から一夜明けた28日午前、姉秀子さん(81)と弁護団が東京都内で記者会見し、釈放後の袴田さんの様子などについて語った。

秀子さんらによると、袴田さんは27日夜、都内のホテルに宿泊。食事を取らずに、そのまま眠りに就いたという。朝までぐっすり眠ったといい、目が覚めると部屋から見える海を眺めた。朝食でご飯とみそ汁を口にした後、「甘い物が欲しい」と話し、ショートケーキを食べた。味を聞かれると「おいしい」と答えたという。ホテル室内を歩き回るなど、元気そうだった。
 秀子さんは「釈放されたことを理解しているのかどうかはまだ分からないが、要所要所で確認しているようだ」と話した。袴田さんと一緒に宿泊できたことについては、「夢でも見ているような気がした」と振り返った。
 秀子さんはまた、袴田さんが釈放時に最初に話した言葉は「解放されたよ」だったと明かした。拘置所内で椅子に座っていた袴田さんの背後から抱きしめるようにして、手を握ったという。秀子さんは「手を握るなんて48年ぶり。柔らかかった」と表情を緩ませた。
 弁護団によると、袴田さんは28日午前、都内の病院で健康診断を受けた。医師の判断を仰いだ上で、今後もしばらく都内で療養するという。