三菱地所:南青山の高級物件を建て替えへ−費用は鹿島が負担

3月17日(ブルームバーグ):三菱地所が東京・南青山に建設中の高級マンションの工事に不具合が生じていた問題で、建て替えを決定したことが17日までに明らかになった。取り壊しと新たな建設費用は施工業者である鹿島建設が負担する。

三菱地所の渡辺昌之広報担当によれば、15、16の両日に都内で契約者向けに説明会を開き、こうした方針を伝えた。説明会には両日で7割以上の契約者が出席した。建て替えには3−4年かかる見通しで、引き渡し時には希望者は優先的に入居できるという。

鹿島の株価は午前の取引で一時前週末比12円(3.3%)まで上昇していたが、こうした報道が伝わると同3円安(0.8%)まで下落した。三菱地所は午前終値で同1.4%下落している。

三菱地所は同物件について、準備が整い次第取り壊しなど建て替えに着手するとしている。鹿島への求償額と内容についてはこれから検討するとしている。鹿島の横手誠一郎広報担当によれば、機械設備協力会社の関電工とも費用負担などについて今後協議していく。

高級物件

三菱地所レジデンスが販売していた「ザ・パークハウス グラン南青山高樹町」は南青山7丁目に位置する全86戸。価格帯は1億4000万円台が中心で最高は3億5000万円と高級物件だった。工事の不具合が昨年12月に見つかり、契約者への引き渡しを断念し販売を中止していた。当初の引き渡し予定日は3月20日だった。

鹿島の広報部は「施工不具合により事業主や購入者に多大な迷惑を掛けており、深くお詫びする」などとコメント。また、「建て替えにより顧客に満足いただける建物を完成させることが施工主としての責務であると判断した」としている。

三菱地所は今年に入り契約者に対し合意解約を要請、協議を進めてきた。これまでの調査の結果、壁や床の配管用貫通孔が施工されていなかったり、位置が間違っていたりする欠陥が判明。新たに梁にも問題が見つかった。是正には長期間を要すると判断したため、契約をいったん解除し、問題箇所の是正工事を行うか全てを建て替えるかなどの選択肢を検討していた。