交通死女性は誰?特定難航2年「普通はすぐに」

福岡市博多区の県道で2012年3月、道路を横断中に車にはねられて死亡した女性の身元が、2年近くたった今も分からずにいる。

 女性は30〜40歳くらいでジャンパーに運動靴をはいており、ウオーキング中だったとみられる。福岡県警博多署は、近所の住民とみて聞き込みを続けたが、手がかりはつかめず、「普通はすぐに分かるんだが……」と困惑。ホームページで似顔絵や特徴を公開し、「心当たりがある人は連絡してほしい」と呼びかけている。

 署によると、女性は12年3月18日午後8時半頃、石城町の県道で、会社員男性の車にはねられ、間もなく死亡した。身長1メートル54と小柄で、黒のジャンパーに、灰色に黒のラインが入ったズボン、灰色の運動靴をはいていた。運転免許証など直接身元に結びつく所持品はなかったが、財布も持たずに軽装だったため、署は近くの住民がウオーキングかジョギング中に事故に遭ったとみて捜査を始めた。

 だが、身元の特定は予想外に難航。捜査員らはズボンのポケットにあったオートロックのマンション用とみられる鍵を手がかりに、現場の半径約1キロ以内をしらみつぶしに回ったが、鍵が一致するマンションはなかった。はめていた腕時計や靴は量産品だったうえ、女性のへそ付近にあった約18センチの手術痕も古い傷痕で、本人の特定には至らなかった。

 署は同年10月、「被害者不詳」のまま男性を自動車運転過失致死容疑で書類送検し、捜査を終結。女性は無縁仏として市内の霊園に安置され、有力情報が寄せられた時に備えて、DNA型や指紋が県警本部に保管されている。

 現場は、コンサートや国際会議などが開かれる福岡国際センターや福岡サンパレスの近く。事故が起きたのは日曜の夜で、人通りも多かった。繁田憲男・交通2課長(56)は「交通事故の犠牲者の身元は一両日中に分かるのがほとんど。このままでは被害者が浮かばれない」と話す。

 女性は両耳に2か所ずつピアスの穴がある。靴はナイキ製の25センチだった。白い文字盤に黒いベルトの腕時計と、「想」の文字が書かれた水晶様のブレスレットを着用。自転車用とみられる鍵も持っていた。情報提供は博多署(092・412・0110)まで。