海運カルテル 課徴金220億円 日本郵船などに

海外に自動車を輸送する貨物船の運賃を巡って国際的なカルテルを結んだとして、公正取引委員会が独占禁止法違反(不当な取引制限)で、東証1部上場の日本郵船、川崎汽船(いずれも東京)など5社前後に、総額約220億円の課徴金納付命令と再発防止を求める排除措置命令を出す方針を固め、各社に処分案を事前通知したことが分かった。課徴金額は過去2番目に多い。

 通知を受けた企業には、日本に事務所を置く海外企業も含まれる。公取委は各社の意見を聞き、最終的な処分を決める。商船三井(東京)は課徴金減免制度(リーニエンシー)を利用して違反を自主申告したため、命令を免れる模様だ。

 関係者によると、各社は遅くとも2009年ごろから、自動車メーカーに運賃の見積もりを求められた際、どの会社が受注するかを事前に決めた上で、提示する金額を調整するなどした疑いがある。北米やヨーロッパなどの航路ごとに、担当者が話し合っていたという。公取委は12年9月に各社を立ち入り検査していた。

 自動車の海上輸送は年間2000億〜3000億円の市場規模があるが、近年は景気低迷や円高の影響でメーカー側から運賃の値下げを求められ、各社はカルテルで運賃の維持を図ったとみられる。

 自動車の海上輸送を巡っては、米国司法省と欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会もそれぞれ調査を進めている。

 日本郵船と川崎汽船は「通知を受けたのは事実。内容を精査して対応を検討する」とコメントしている。