高齢者虐待、「男性職員」が多発 施設で昨年度過去最多155件

20131227-00000092-san-000-3-view介護施設の職員らが高齢者に虐待したと自治体が判断したケースが平成24年度は前年度比2・6%増の155件となり、過去最多を更新したことが26日、厚生労働省の調査で分かった。介護職員の約8割を女性が占める中、「30歳未満の男性職員」による虐待が多発している傾向も新たに判明した。

 一方、家族らによる虐待は前年度比8・4%減の1万5202件で、2年連続で減少した。加害者と被害者の「2人世帯」での発生が多く、夫や息子による暴力などが目立った。調査は、高齢者虐待防止法に基づき18年度から実施。今回は初めて職員の性別や虐待の要因などを調べた。

 これによると、虐待を行った施設職員は男性41%、女性59%で、全職員の男女比を考えると男性の割合が高く、年代別では「30歳未満」が虐待に及ぶ割合が大きかった。理由を分析すると「職員の知識不足」(55・3%)、「職員のストレス」(29・8%)などが多く、高齢者の認知症の症状が重いほど、身体的虐待を受ける割合が高いことも分かった。厚労省は「コミュニケーションがとれない中で、荒っぽい対応になった可能性がある」とし、研修などの適切な対応をするよう自治体に通知した。

 家族らによる虐待では加害者の年齢などを初めて調べた。息子による虐待が多い「50代」と夫が多い「70歳以上」がともに2割を超え、家族構成を調べると、加害者と被害者のみが同居する「2人世帯」が半数近くを占めた。