張成沢氏、処刑直前に離婚か 「正恩氏が指示」との情報

20131214-00000085-san-000-4-view北朝鮮が、「反党・反革命的分派行為を働いた」として全職務から解任した前国防副委員長、張成沢(チャン・ソンテク)氏を解任からわずか4日で処刑した。17日に控える金正日(キム・ジョンイル)総書記の死去2年を前に金正恩(ジョンウン)第1書記は、後継体制の完成とともに「叔父であれ逆らう者は容赦なく処断する」という極めて強硬な姿勢を内外に示した。

 ◆敬姫氏の姿確認

 ラヂオプレス(RP)によると、北朝鮮国営の朝鮮中央テレビは13日夜、金第1書記の記録映画を放映したが、その映像の中に金総書記の実妹で、張氏の妻だった金敬姫(ギョンヒ)氏の姿があるのが確認された。張氏の姿はなかった。金敬姫氏は9月10日を最後に北朝鮮メディアで動静が報じられておらず、夫の事件に関連して失脚したとの説もあった。

 朝鮮中央通信などによると、張氏の処刑は、2004年4月以降に共和国刑法第60条に盛り込まれたとみられる「国家転覆陰謀(クーデター計画)」が適用された。北朝鮮メディアは、8日の連行時の模様に続き、13日には死刑判決(12日)が下された際の手錠をかけられうつむく張氏の生々しい写真も公開した。

 ◆過去に比べ露骨

 北朝鮮では1956年に、中国で活動した延安派とソ連派が、67年には日本統治時代の朝鮮半島で抗日活動に携わった甲山派が、いずれも金日成(イルソン)(主席)派に対立するグループとして粛清された。金主席死後の金正日体制でも、姜成山(カン・ソンサン)首相らへの処分があったが、大々的な公表はせず、むしろ秘密裏に行われていた。

 張氏の処刑は、過去の粛清に比べても極めて露骨だ。しかも、処刑対象が最高権力者(金第1書記)に近い親族であり、65年にわたる北朝鮮の政治史の中で特異な事件といえる。

 北朝鮮はクーデター計画について明言し、「朝鮮人民軍最高司令官(金第1書記)の命令に従わないという反革命的な行為」を張氏が犯したことを強調している。反逆者、つまり金第1書記に逆らう者は親類であろうが、後見人であろうが処断するという“冷徹”な金第1書記の意志をはっきり示したことになる。

 張氏の解任や処刑を伝えた北朝鮮メディアは、「主体革命偉業継承の転換局面が今開かれている」とし、金総書記死去から現在まで「権力継承」の作業が続いていたことを示唆した。金主席が行った粛清の後と同様に、北朝鮮は金第1書記への「絶対忠誠」「団結」を強調している。