執刀医に異常伝えず…手術ミスで女性が意識不明

名古屋市立大病院(名古屋市瑞穂区)は13日、2005年に行った心臓手術のミスで、70歳代の女性が脳に重大な障害を負ったと発表した。女性は今も意識が戻っていないという。

 記者会見した城卓志院長らによると、心不全などになった女性は05年3月7日、5時間40分にわたり、心臓血管外科で手術を受けた。その際、人工心肺が使われたが、動脈に血液を送る管の先端が想定より深く入ったために脳への血流が不十分となり、脳に障害を負った。

 手術に立ち会った人工心肺担当の医師や麻酔科の医師は、血圧が高いなどの異常を感じたが、投薬するなどしただけで、執刀医に伝えなかったため、結果的に執刀医は異変に気づかなかった。

 病院と女性の家族との間で調停が成立したことから、この日公表した。賠償額については家族の希望で明らかにしないという。

 城院長は「医師同士のコミュニケーション不足が事故につながり、大変遺憾。患者や家族、市民に迷惑、心配をおかけし、おわびしたい」と述べた。再発防止のため、今後は手術担当者全員で血行の状態を確認するなどし、情報を共有するという。