TPP 交渉は越年 閣僚会合閉幕で

環太平洋パートナーシップ協定(TPP)のシンガポール閣僚会合は最終日の10日午後、全体会合で共同声明を採択して閉幕する。関税や知的財産などの難航分野の対立が解消できず、目標だった年内妥結は先送りが固まった。各国は難航分野の協議に向け、来年に首席交渉官会合を開く方向で調整に入った。声明では、今回の会合の成果をどうアピールするかや、新たな交渉期限の設定が焦点となりそうだ。

 西村康稔副内閣相は10日午前、宿泊先のホテルで記者団に「難航分野の論点は集約されていない」と、年内妥結は困難であることを改めて語ったが、「いい形になるように最後まで努力したい」と、年明け以降の交渉妥結に向けた協議を続ける姿勢を示した。

 今回の会合では、難航分野を政治決着する「実質合意」を目指したが、「知的財産」や「国有企業改革」で先進国と新興国の対立は解けなかった。また、コメなど「重要5項目」の関税維持を目指す日本と、関税全廃を求める米国との溝も埋まらなかった。閣僚声明では、21の交渉分野の半分以上で交渉を完了したことを強調し、交渉の進展をアピールすることなどが検討される見通しだ。

 また、次の交渉期限の設定も焦点だ。TPP交渉を主導する米国は、来秋の中間選挙に向けてオバマ政権の成果を示すために年内妥結を急いでいた。交渉期限が中間選挙後の1年以上先に設定されるか、期限が設定されない場合は、難航分野の交渉を進める機運が失われ、事実上頓挫する可能性もある。

 10日付のシンガポールの英字紙「ストレーツ・タイムズ」は、リー・シェンロン同国首相の「未解決の分野が残っている」として交渉難航を認める発言を伝えた。