日展事務局、第三者調査に関与 審査員らの回答回収

公募美術展「日展」の不公正な審査を巡る調査で、日展事務局が第三者委員会(委員長・浜田邦夫元最高裁判事)に代わり、審査関係者に調査書を送って回収していたことがわかった。日展上層部に漏れることを懸念して内部告発情報が寄せられない恐れがある。文化庁は21日、第三者委が独立して機能していない可能性があるとして改善を指導した。

 書道の入選数を有力会派に事前配分していたという朝日新聞報道を受け、日展は7日、弁護士ら外部有識者による第三者委を発足。書道に加え、洋画や日本画など全5科の過去の審査について当時の審査員らを調べる方針を示していた。

 ところが審査関係者に調査書を送ったのは、第三者委ではなく日展事務局だった。朝日新聞が入手した調査書は、氏名や会派名を記入した上、不公正な審査への関与について今月中旬までに回答するよう要請。第三者委による調査と告げる一方、返送先として日展事務局の住所やファクス番号を記していた。第三者委の一人は「月末の調査報告に間に合わせるため誰に聞けばいいか知っている事務局にお願いした」と説明する。