想定上回る勢いで縮むデジカメ市場 一眼レフ2強、思惑外れ苦戦

20131115-00000500-fsi-000-2-viewデジタルカメラ各社が今年度の販売台数を相次いで下方修正している。カメラ機能を搭載するスマートフォン(高機能携帯電話)に市場を侵食されているうえ、欧州などの景気低迷が販売減に追い打ちをかけている。各社は高価格モデルなどに力を入れるが、キヤノンとニコンは初めてレンズ交換式デジタルカメラの販売が前年度を下回る見通し。不振からの脱却には時間がかかる恐れもある。

 「デジカメ市場は年々縮小し厳しい環境が続いている」。カシオ計算機の中山仁執行役員は14日、コンパクトカメラの新製品「EX−10」の発表会で危機感を示した。カシオは、EX−10を最高峰モデルと位置付け、高価格コンパクト市場に参入する。想定価格は約8万円で、シャッターボタンを押せば明るさなど設定の異なる9枚の写真を連写。簡単な操作でレンズ交換式のような多彩な撮影ができる。

 スマホのカメラ性能が向上する中、コンパクトカメラは低価格モデルを中心に苦戦が続く。価格下落も激しい。だが高機能・高価格モデルは愛好家のニーズが根強く、利益率も高いため各社が開発を加速させている。デジカメ市場の縮小は想定を上回る勢いで進んでいる。ソニーは10月下旬、8月時点で1250万台とした今年度の販売台数を1200万台に引き下げると発表。富士フイルムも、700万台と見込んでいた販売台数が500万台程度になるとの見通しを明らかにした。

 深刻なのは、拡大が続いていた一眼レフなどのレンズ交換式カメラにもブレーキがかかっていることだ。キヤノンは10月下旬、今年のレンズ交換式カメラの販売台数予想を7月時点の900万台から800万台に引き下げた。下方修正は今年に入って2度目で昨年の販売台数(820万台)を下回る見通しだ。

 ニコンも今月、昨年度に698万台を売り上げたレンズ交換式カメラの今年度の販売目標を8月時点の655万台から620万台に下方修正した。

 背景には、景気低迷が長期化する欧州や、米国に加え、成長に陰りが見える中国などアジアで販売が落ち込んでいることがある。キヤノンの田中稔三副社長は「今までは景気が悪くても2桁近い伸びだったが、ぜいたく品として消費が後回しされるようになっている」と話す。コンパクトカメラの不振をレンズ交換式で補うという思惑もはずれた格好で、各社ともてこ入れが必要になっている。