提携ローン ジャックスでも暴力団員融資 問われる審査

信販大手のジャックスは5日、金融機関との「提携ローン」の取引で、暴力団員らへの融資が数件見つかったと発表した。みずほ銀行がグループのオリエントコーポレーション(オリコ)を通じた提携ローンで問題になった暴力団員らへの融資は10月末、信販大手アプラスでも明らかになっている。茂木敏充経済産業相は同日、提携ローンを扱う全信販会社18社に割賦販売法に基づく報告を求める方針を示した。提携ローンの審査のあり方が改めて問われそうだ。

ジャックスは三菱東京UFJ銀行が20%出資する、同行グループ会社。同行は提携ローンを扱わないが、ジャックスが信託銀行や生損保など21社と取引する提携ローンの残高は3月末時点で約7600億円で、最大手オリコに次ぐ規模。今年度上期(4〜9月)に取引先金融機関の事後チェックで提携ローンを通じた反社会的勢力との取引が数件見つかった。上期には提携ローンとは別の自社融資でも数件、同様の取引が見つかったという。

 ジャックスはそれぞれ取引解消の手続きを進めている。10月からは三菱東京UFJ銀と反社会的勢力のデータベースの共有を始め事後的なチェックを強化。会見した尾形茂樹上席執行役員は「取引先金融機関に提携ローンを見直す動きはない。対策は講じているので理解を求めていく」と述べ、提携ローンを継続する方針を示した。

 提携ローンに紛れ込む反社会的勢力排除に向け、他の信販会社もより情報量が多いグループの銀行との情報共有を進めている。問題の発端となったみずほ銀行とオリコは今月をめどに情報を共有し事前審査を強化。新生銀行グループは、アプラスが審査し新生信託銀行が融資する提携ローンで、暴力団員らへの融資十数件が見つかったことを受け、10月末までに新生銀が保有する情報でアプラスの審査を強化した。大手信販の一角セディナは、グループの三井住友銀行の情報を他の金融機関の提携ローンにも活用し事前審査する。

 みずほ銀の問題が発覚する前は、提携ローンを扱う信託銀行や生損保は、チェックを信販会社任せにするケースが多かった。事後チェックを独自に始める金融機関が増えているが、地銀の中には提携ローンの取り扱いを中止する動きもある。「チェックを厳しくしても限界がある。警察との関係を強化し、定期的なチェックで問題取引を見つけて地道に解消を進めるしかない」(大手銀幹部)との見方もある。