全農、ロスに和食レストラン=TPP見据え、米初―「ユネスコ登録」も追い風

全国農業協同組合連合会(JA全農)が来年3月をめどに、米国で日本の和牛肉とコメの販売を強化するため、ロサンゼルス近郊で和食レストランを開店する計画が2日分かった。関係者が明らかにした。実際に食べることで良さを知ってもらい、消費拡大につなげる狙い。環太平洋連携協定(TPP)を見据えた戦略でもあり、同様の取り組みが広がりそうだ。
 和食は年内に、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産への登録が決まる見通し。米国では健康意識の高まりで和食が人気を集めるなど、「日本産」売り込みに追い風が吹いている。
 レストランの候補地は高級住宅街として知られるビバリーヒルズ。約1億円を投じ、店舗を借りて改装する。座席は当初60〜80席で、軌道に乗れば120席まで増やす方針だ。
 店では「創作和食」を提供。店の運営は米国の会社に委ね、全農は日本からの輸出が可能な牛肉やコメを主に供給する。和牛肉は米国産の牛肉よりも値段が高いが、高い品質や独特の風味によって「差別化が可能」と全農は分析。所得水準が高い米国人の購買力に期待できる。
 全農による海外での飲食店開設は、香港に次いで2カ所目。日本の農畜産物は、少子化で将来的な国内市場の縮小が懸念されており、TPP交渉の結果次第では、海外産との激しい競争にさらされかねない。海外への展開が待ったなしだ。全農は米国など海外に新たに3人の駐在員を送り込んでおり、体制を強化している。