アナ泣かせの楽天・田中 球種多くて判別困難

日本シリーズ、盛り上がってますよね。第1、2戦のテレビ視聴率もともに20%超え(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。注目されてなによりです。

 さて私は田中将大vs菅野智之の第2戦を実況したのですが、お恥ずかしい話、これほど球種をいい間違えた中継は近年ありませんでした。

 田中投手の球種がなかなか区別できなかったんです。彼はツーシーム、スプリット、スライダーといった変化球を投げますが、すべて140キロ前後。直球も6回2死満塁でロペスを三振に仕留めた時のように全力だと150キロを超えますが、軽く投げると140キロくらい。

 Kスタ宮城の放送席は5階にあり、そもそも本塁付近が見づらい上に、田中投手のボールは打者の手元で変化するから、途中まではおおむねまっすぐっぽく見えるんですよね。で、こりゃ変化球かなって思うとスピードガンをカンニング(笑)するんですが、いつも140キロ前後。

 この日は中日のバッテリーコーチに就任される達川光男さんと野村弘樹さんのダブル解説だったのですが、何度ダメ出しをされたことか。

 松本「第2球を投げた、ボール!シュートでしょうか…」

 野村「いや、まっすぐですね」

 松本「3球目はフォーク、空振り!」

 達川「スライダーでしたね」

 冷や汗の連続でした。

 でも見ている俺が球種の区別にこれだけ苦労するんだから、打者も面食らうわけだよな、田中はたいしたもんだ、と自分のミスを棚に上げて妙に感心してしまった次第。

 試合後、某審判員の方にうかがったのですが「確かに彼の変化球は打者の手元で鋭く曲がります。そしてピンチになると直球の速さがまるで変わる。普通はいきなり目いっぱいの力で投げると球筋が乱れるものなんですが、それを彼はビシッと制球できるからすごい」。

 また地元仙台放送局のアナウンサー氏は「僕らも彼の球種の見分けには苦労してます。150キロでツーシームを投げることもあるんですよ」と苦笑いしていました。

 さらに、田中投手の持ち球にはカーブもありますが、この日は6回に阿部慎之助選手に投じて四球となった1球だけ。そして得意球のスライダーも普段より少なめでした。次はパターンが代わる可能性もあります。

 今度はおそらく田中投手の日本での見納めのマウンド。じっくり堪能したいと思います。