日産 拡大路線に誤算 「リーフ」苦戦で先行きに不透明感

円安を追い風に自動車業界で業績の上方修正が目立つ中、日産が業績下振れ見通しを発表したことは、ゴーン社長の拡大戦略に狂いが生じていることをうかがわせた。

日産は13年度上半期に日本や北米で販売を伸ばしたが、企業連合を組む仏ルノーの主戦場の欧州での販売が低迷。急成長を見込んだロシアやブラジル、インドなどの新興国市場の販売も振るわなかった。北米などでリコールが相次いだことも誤算だった。

 ゴーン氏は1日の会見で「世界で新商品や技術、工場の立ち上げに取り組んでおり、これらの施策を加速させる」と強調。志賀COO退任に続き、来年4月に役員を刷新する考えも示した。

 しかし、日産の誤算は「ゴーン氏の戦略ミスも影響している」(アナリスト)。その象徴が「エコカーの本命」と見込んだ電気自動車(EV)「リーフ」の苦戦だ。市場ではライバルのトヨタ自動車やホンダが主導するハイブリッド車(HV)人気が拡大。日産・ルノー連合は17年3月期までに世界でEV150万台を売るとぶち上げたが、リーフの13年度の世界販売台数は5万台程度にとどまる。

 日産は16年度末までの世界シェア8%(12年度6.2%)達成などを柱とする中期経営計画を掲げるが、先行き不透明感も漂う。ゴーン氏は会見で経営若返りの必要性を訴えたが、記者からは「ゴーン氏自身の日産CEO職が10年以上に及ぶことの弊害」を問う質問も出た。