近鉄系「三笠」 大和肉鶏、当初から偽装 前料理長認める

20131102-00000011-mai-000-3-view近鉄系のホテルや旅館がメニュー表示と異なる食材を提供していた問題で、奈良市の旅館「奈良万葉若草の宿三笠」が2011年4月からメニューに入れている「大和肉鶏の唐揚げ」の食材について、担当だった前料理長が、京地鶏やブラジル産鶏肉と認識しながら、大和肉鶏とメニューに表記していたことが1日、分かった。三笠の社内調査に対し認めた。一度も大和肉鶏を使っておらず、ミスではなく、意図的な偽装だった疑いが強まった。

三笠のメニューを巡っては、経営する近鉄旅館システムズの北田宣之(のりゆき)社長が10月31日の記者会見で、豪州産の成型肉を「和牛」と表記したことについて、「和牛と信じ込んで新しいメニューを作った」と述べるなど、一連の誤表示は、偽装ではなくミスとの認識を示していた。

 しかし、阪急阪神ホテルズの一連の偽装発覚をきっかけに、三笠の支配人が同30日に前料理長に聞いたところ、全く大和肉鶏を使用していなかったことを認め、理由として「大和肉鶏の納入が遅い」との趣旨を説明。メニューと食材を決めた後、支配人らに報告しておらず、社内調査に対し、「『まずい』という認識はなかった」とも話したという。メニューは修学旅行誘致用のパンフレットにも掲載されていた。

 前料理長は9月に今の料理長と交代したが、メニュー表示と異なる鶏肉がそのまま使われ続けていた。

 大和肉鶏は3品種を掛け合わせた鶏の肉で、奈良県内の養鶏場で飼育されている。赤みを帯びた肉は弾力性があり、うまみ成分を多く含む。県がブランド化を推進しており、生産者でつくる「大和肉鶏農業協同組合」が出願し、07年に特許庁の地域団体商標に登録された。