減反政策見直しへ、困惑するコメ農家

日本はコメの価格維持のため「減反政策」をとっています。国が農家に対し、需要に見合う分だけの作付面積を割り当てる生産調整で、収入が減った分は補助金で補填する仕組みです。しかし、政府は、この「減反政策」を見直す方向で検討に入りました。日本の農業は大きな転換点を迎えることになります。

 群馬県高崎市。コメ農家の木村さんは困惑していました。

 「農産物の値段が低い割に経費がかかる。(補助金の)制度の支えがないと立ち行かない状態」(コメ農家 木村一彦さん)

 木村さんが危惧するのは、政府が減反政策とそれに伴う補助金見直しの検討に入ったからです。24日に行われた政府の産業競争力会議は、減反政策と民主党政権が掲げた主食用のコメに対し、一律の補助金を出す戸別所得補償制度の見直しに乗り出しました。

 「減反政策そのものは中期的に廃止していくことが良い」(産業競争力会議 新浪剛史氏【ローソン社長】)

 減反を放棄して、大規模な農家が自由に生産できる体制を整え、国際競争力を高めるのが狙いです。

 しかし、中小の農家は淘汰されるおそれがあります。減反を受け入れ、小麦を作り始めた木村さんは、政府の方針転換を批判します。

 「自由な競争に任せようとか、『成り行きで農業をやっていけばいい』みたいな考えはまずい」(コメ農家 木村一彦さん)

 減反政策の見直しは、小規模農家の保護を主眼とした、これまでの農業政策が大きく変わることを意味します。なぜ今、見直しに踏み切るのでしょうか。その背景には、TPP交渉で各国からの農産品の関税撤廃や自由化を強く求められている事情があります。

 24日の国会でJA出身の自民党議員は、TPPについて・・・。

 「(TPP交渉で)不安でいっぱいの農林漁業者に総理の決意を」(自民党【JA出身】 山田俊男参院議員)
 「情熱と能力で新たな地平線を切り開くことができる分野にしていきたい」(安倍首相)

 TPPを通じ、農業を改革することに意欲を示しました。今後、日本の田園風景は、どう変わっていくのでしょうか。