電事法改正案 電力の地域独占に風穴、戦後最大の改革へ

政府は15日、通常国会で廃案になった電気事業法改正案と、企業競争力強化を目指した産業競争力強化法案を閣議決定した。同日午後開会する臨時国会に提出する。政府は、両法案ともアベノミクスの成長戦略の柱に位置づけており、早期成立を目指す。

 電気事業法改正案は、今年6月の通常国会で衆院通過したものの、参院選前の与野党対立のあおりを受け参院で採決されず、廃案となった。閣議決定した改正案は、発送電分離に向けた電力システム改革を進めることが柱で、大手電力会社による地域独占体制を崩す戦後最大の電力改革の入り口に当たる。改正案は2015年をめどに全国規模で電力を融通する「広域系統運用機関」の創設が柱だが、付則には16年の電力小売りの全面自由化や、20年までの発送電分離の実現など改革全体の工程表も盛り込まれている。

 一方、産業競争力強化法案では、革新的な技術開発を目指す複数の企業に対し、特例的に規制緩和を認める企業版特区制度「企業実証特例制度」の創設や、医療関連などの新分野で事業を始める際、国が適法の範囲を明示する「グレーゾーン解消制度」創設が目玉。また、企業が新規事業を行う際、事業再編する際の事業計画を国が認定すれば、会社設立時などにかかる登録免許税を軽減する新制度も盛り込んでいる。国が主導する形で、企業の新規参入や業界再編を支援し、企業の国際競争力を高めるのが狙い。