包材改良、賞味期限を延長 納期緩和で食品ロス減らせ

まだ食べられる食品が廃棄される「食品ロス」を減らすため、賞味期限を見直す動きが広がっている。食品メーカー各社が、期限延長のための技術開発に取り組んでいるほか、食品ロスの一因とされる流通業界の慣習を見直す動きも出ている。賞味期限の延長は利益率改善につながるだけでなく、東日本大震災を機に高まる備蓄需要の開拓も期待できるとあって、業界の垣根を越えた広がりを見せている。

 即席麺メーカーなどで構成される日本即席食品工業協会は8日、来春をめどに即席麺の賞味期限を延長すると発表した。包装材の技術改良が進み、品質が維持できることを確認したという。現在6カ月が主流の袋麺は8カ月、カップ麺は5カ月から6カ月に延長される見通しだ。

 メーカー各社も同様の技術革新に余念がない。江崎グリコは昨年、温めずに食べられるレトルトカレーの賞味期限を2年から3年の延長に成功。ハウス食品も今年、ゼリータイプの調味料の包材を遮光タイプに変更し、賞味期限を9カ月から1年に延長した。

 国内で年間500万〜800万トン発生するとされる食品ロスの削減に向けて、食品流通業界の慣習にもメスが入る。

 メーカーや卸は製造から賞味期限までの最初の3分の1の期間内に小売りに納品することが求められる。この「3分の1ルール」と呼ばれる慣習を見直すため、流通や卸、食品メーカーで構成されるワーキングチームが昨秋に発足。賞味期限が最初の2分の1でも納入できるよう緩和する実証実験を進めており、年内にも中間報告をまとめる方針だ。

 流通経済研究所の石川友博主任研究員は「納品期間を過ぎて卸から返品された商品や、メーカーから出荷できないまま納品期間が過ぎた商品が廃棄につながる。廃棄が減れば、メーカーは利益率の改善が図れる」と意義を強調する。

 一方、国の中央防災会議が南海トラフ巨大地震対策の最終報告書で「家庭で1週間分以上の備蓄」を求めるなど、防災食の需要が高まっている。今年2月に賞味期限を1年延長したカゴメの缶入り野菜ジュースは4〜9月の販売数が前年同期比2倍になったという。即席麺最大手の日清食品も「家庭で保存できる期間が伸び、防災食としてニーズが高まる」(広報担当者)と話し、需要創出効果に期待している。