日航、エアバス機初購入 最大56機 ボーイング依存転換

日本航空は7日、欧州の航空機大手エアバスと、次世代旅客機「A350」を最大56機購入する契約を結んだ。うち31機は購入が確定済みで、需要動向などに応じて最大25機を追加する内容。エアバス機の発注は経営統合前の旧日本エアシステム(JAS)では実績があるが、日航としては初めて。日航が現在、国際線と国内線で運航している米ボーイング「777」の後継機として平成31年から順次運航を開始し、日本と欧米などを結ぶ中長距離路線などで投入する方向だ。

 エアバス社の参考価格によると、購入が確定した31機で9500億円だが、実際の購入額は明らかにしていない。A350は一部機種が来年の商業運航に向け試験飛行を今年6月から行っている。同社によると、現状で最も多く発注しているのはカタール航空(カタール)の80機(購入確定分のみ)だが、都内で記者会見したエアバスのブレジエ最高経営責任者(CEO)は「(日航からも)かなり大きな受注だ」と語った。

 今回は、日航とエアバスの思惑が一致した格好といえる。日航は6月末時点で航空機214機を持ち、主要機はすべて米ボーイング製。燃費に優れたA350の大量購入で収益力を強化するとともに、ボーイング依存からの転換を図り機材調達先を分散化する。

 エアバスにとっても、日本市場開拓に大きな弾みとなる。従来、日本への機材導入実績ではボーイングがエアバスを圧倒してきた。ブレジエCEOは「日本市場での突破口」と話しており、今後はボーイングとの受注競争が激化しそうだ。キャメロン英首相は7日、「素晴らしい知らせだ。(2020年の)東京五輪にも間に合う」と、日航によるA350大量購入を歓迎する声明を発表。また、日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉を後押しする可能性もありそうだ。

 ただ、A350はトラブルが相次いだボーイングの新型機「787」の競合機とされ、今回の契約に米国側の反発も予想される。平成22年に経営破綻した日航には3500億円の公的資金が投じられ、会社更生法の適用で金融機関が5215億円の債権を放棄した経緯がある。破綻から3年余りでの大量の機材購入には全日空などから反発が出そうだが、日航の植木義晴社長は「航空会社として事業運営を継続するのに必要な投資」と説明した。