JR3社長公判、指定弁護士が控訴へ 福知山線脱線事故

兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本の井手正敬(まさたか)元会長(78)ら歴代3社長を無罪とした1審神戸地裁判決について、検察官役の指定弁護士が7日午後にも、大阪高裁に控訴する方針を固めたことが同日、分かった。

 9月27日の地裁判決では、「現場カーブで速度超過により事故が起こることは予見できなかった」として、3社長に無罪が言い渡された。指定弁護士が「事故の遠因になった」と指摘していた懲罰的な日勤教育や利益優先の企業体質などについても、判断は示されなかった。

 指定弁護士は今月6日、神戸市内で遺族説明会を開き、出席した遺族のほぼ全員から控訴の要望があった。説明会後の会見で引き続き協議を続ける考えを示したが、早ければ7日午後にも控訴の手続きを行う意向を明らかにした。

 3社長は神戸第1検察審査会の「起訴すべき」との議決を受け、平成22年4月、強制起訴された。検察が同罪で唯一起訴したJR西の山崎正夫元社長(70)は24年1月、無罪が確定している。