みずほ銀 元副頭取が組員融資放置…発覚1週間、明かさず

20131001-00000002-asahik-000-1-viewみずほ銀行が傘下の信販会社などを通じて暴力団員ら反社会的勢力にお金を貸していた問題で、2010年に法令順守を担当していた当時の副頭取が、問題融資の存在を知りながら放置していたことが分かった。同行の親会社「みずほフィナンシャルグループ」(FG)は4日夕、問題融資に関して初めて記者会見を開き、事実関係について説明する。

元副頭取は代表取締役として頭取に次ぐ立場にあった。11年4月に副頭取を退任し、同行が出資している東京都内の不動産会社社長に就任している。みずほFGの「企業行動規範」は「反社会的勢力とは、断固として対決します」とうたっているが、当時のナンバー2による問題融資の放置が発覚したことで、法令順守への認識の甘さがさらに浮かび上がった。

 みずほ銀は、グループの信販会社オリエントコーポレーションなどを介した「提携ローン」で暴力団員に対する融資をしていたことを10年12月に把握。しかし、契約を解消するなど抜本的な対策をとらずに2年以上放置し、金融庁から9月27日、「(問題融資の)情報が担当役員止まりになり、法令順守態勢に重大な問題がある」として業務改善命令を受けた。

 この問題でみずほ銀は記者会見を開いておらず、誰が、いつ、どのような判断で問題を放置したのか、詳細を明らかにしていなかった。4日夕の記者会見は、9月30日付で新たに法令順守担当になったFGの岡部俊胤(としつぐ)副社長(みずほ銀副頭取)が出席し、現時点での実態調査や再発防止策とりまとめの状況を報告する。

 改善命令からすでに1週間が経過しており、後手に回った同行の対応に批判が高まるのは必至だ。

「古い体質そのもの」…識者

金融庁から業務改善命令を受けてから1週間。ようやく記者会見を開くみずほ銀行に対し、有識者からは批判が相次いだ。

 経済アナリストの森永卓郎さんはこれまで「メガバンクが金をもうけるために消費者金融との結びつきを深める中、みずほ銀行は唯一、そのつながりがなかった」と評価していたという。しかし今回の問題を受け、「消費者金融どころの話でない。銀行が暴力団とつながっている構図は社会にとって深刻な問題だ」と指弾。会見が遅れたことについても「高い壁を築いて情報を外に出さないという銀行の古い体質そのものだ」と批判した。

 ナンバー2にあたる当時の副頭取が暴力団との関係を放置していたことについて、暴力団問題に詳しいジャーナリストの溝口敦さんは「暴力団との癒着が半ば習慣化し、組織として感覚がまひしてしまっていたのではないかと疑われても仕方がない」と指摘する。

 銀行業界に詳しいジャーナリストの須田慎一郎さんは「暴力団対策法や暴力団排除条例のできる前なら『グレー』として許されていたかもしれないが、明らかに違法とされる現在も暴力団とのつながりを継続していたことにあぜんとする。問題の本質はこの一件を把握しながら、握りつぶしていたこと」とあきれ、「一般企業ならば、暴力団の『密接交際者』と認定されて取引停止を招き倒産する。銀行が深刻な状況にあることを認識すべきだ」と強調した。