白鵬が伝説の大技決め8連勝/秋場所

20130922-00000071-nksports-000-5-view<大相撲秋場所>◇8日目◇22日◇東京・両国国技館

 顔が、自然とほころんだ。うれしさをこらえきれなかった。横綱白鵬(28=宮城野)は、待ちかまえる報道陣に自ら言い始めた。「出ましたね、とうとう」。

97年春場所9日目の貴乃花−剣晃戦以来、16年半ぶりとなる大技「呼び戻し」。それを宝富士(26=伊勢ケ浜)に決めた。「やりがいがあったね」と上機嫌に笑みを振りまいた。

 右を差して、左上手をつかもうとした瞬間、とっさにひらめいた。「やるだけやって、ダメなら寄り切ろう」。上手投げを放つ動きで宝富士の腰を引かせておいて、反対の右腕で強引なすくい投げ。通称「仏壇返し」とも呼ばれる荒技で、豪快にたたきつけた。

 呼び戻しは、土俵の鬼と呼ばれた初代若乃花の故花田勝治さんが得意としていた。力とタイミングが合わなければなかなか決まらない。映像で見て興奮し、研究してきた白鵬も何度か挑んだ。だが、そのたびに「すくい投げ」と判定されて、あきらめかけていた。それだけに念願かない「初代若乃花さんのファンですから。豪快な映像ほどはいかなかったけど、同じように決まったね」と喜んだ。

 これで自らの記録を更新する29度目の、初日から8連勝の「ストレート給金」。4連覇での27度目の優勝へ、死角はなさそうだ。