トラのゲノムを解析、大型ネコ科動物保護の助けに 研究

20130918-00000004-jij_afp-000-1-view絶滅危惧種のネコ科動物の生存を助けるプロジェクトで、トラと他の4種類の大型ネコ科動物のDNA解析を世界で初めて実行したとする論文が17日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された。

韓国・水原(Suwon)にあるパーソナルゲノム研究所(Personal Genomics Institute)のチョン・パク(Jong Bhak)氏率いる研究チームは、シベリアトラ(アムールトラ)のゲノムを解明し、ベンガルトラ白変種、アフリカライオン、アフリカライオン白変種、ユキヒョウのゲノムとの比較を行った。

 比較の結果、これらの近縁だが別種の大型ネコ科動物の間で共通する特性を示す一連の遺伝子の存在が明らかになった。共通遺伝子としては、非常に強い筋力や、肉食性の高い餌を代謝する能力を示す遺伝子などがある。さらには、毛皮の色の違いや、ユキヒョウに見られる高地の氷に覆われた生息地に適応する能力などの要因となる遺伝子変異も存在する。

 今回論文で公開されたゲノムは、野生動物保護論者らの助けとなる「豊富で多様な」情報源を提示すると研究チームは言う。

 研究チームの報告によると、トラの亜種9種のうち、ジャワトラ、バリトラ、アモイトラ、カスピトラの4種は、20世紀に野生で絶滅したという。

 研究チームは「現在の野生のトラの推定個体数は、3050頭から3950頭程度の範囲にある」として「保護対策を実施しないと、トラは間もなく野生絶滅することが予想される」と述べている。