「上げない理屈探す方が大変」 消費増税は既定路線?

2020年夏季五輪の東京開催決定、9日発表された今年4〜6月期の国内総生産(GDP)の上方修正という“追い風”を背に、政府・与党内では、来年4月から消費税率を予定通り8%に引き上げる環境が整ったとの見方が大勢となりつつある。安倍晋三首相は、日銀の企業短期経済観測調査(短観)が発表される10月1日に最終判断を下すが、政府高官からも「(税率を)上げない理屈を探す方が大変だ」との声が上がっている。

 安倍首相は8日、国際オリンピック委員会(IOC)総会が開かれたブエノスアイレスから出演したフジテレビ番組「新報道2001」で「景気、成長に大きな追い風になる」と語った。

 一方で、消費税増税については、「消費税の引き上げには関係ない。秋にしっかり判断する」と述べるにとどめた。

 首相はなお、慎重な姿勢を崩していないようだが、自民党内ではすでに、消費税率の引き上げは既定路線と化した感すらある。

 「東京五輪」決定から一夜明けた9日の党税制調査会小委員会では、17人の所属議員が消費税率引き上げの是非に関し発言したが、「引き上げを見直せという意見は一人もなかった」(宮沢洋一政調会長代理)という。

 党内論議は消費税増税を織り込み、増税時の景気対策に移っており、小委員会でも大規模な財政出動を求める意見が相次いだ。

 財務省は景気対策を2兆円規模にとどめようとしているとされ、今後は五輪開催も追い風に財政出動の上積みを目指す「財政出動派」と、同省に同調する「財政規律派」の駆け引きが激化しそうだ。