実質GDP 上方修正で消費増税に追い風 対策求める声も

20130909-00000036-mai-000-5-view実質経済成長率が年率換算3.8%と比較的高い推移を確認したことで、消費増税への環境は一段と整いつつある。各種経済指標からも、消費増税法の付則18条にある「経済状況の好転」という条件を満たしているとの見方が市場関係者の間では大勢だ。しかし、依然として国民が広く景気回復を実感しているとは言い難く、増税に踏み切る場合には、景気の腰折れを防ぐための対策に万全を尽くすよう求める声が高まりそうだ。

4〜6月期のGDP改定値では、安倍政権の経済政策「アベノミクス」で効果が出るのが待たれていた企業の設備投資が上方修正された。4〜6月期の法人企業統計をもとに推計し直した結果、6四半期ぶりにプラスに転じ、伸び率も1.3%増と2011年10〜12月の8.3%以来の高さだった。

 一方、7月の毎月勤労統計調査によると、現金給与総額はボーナス増などを反映して2カ月連続で前年同月を上回ったものの、基本給(所定内給与)は14カ月連続で減少。賃金改善の実感が得られないまま増税に踏み切れば、消費が落ち込んで景気の腰折れを招きかねず、食品価格や電気代も上がる中、家計の不安を訴える声は根強い。中国など新興国経済の減速懸念も強く、製造業の設備投資姿勢は依然慎重だ。市場では、企業収益の改善→雇用拡大・賃金上昇→消費拡大→企業収益の改善−−という好循環の実現には時間もかかるとの見方が根強い。

 安倍晋三首相は有識者や専門家の意見なども踏まえた上で10月初めにも消費増税の是非を判断する。増税時に景気の腰折れを防ぐために、低所得者向けの現金支給制度「簡素な給付措置」の実施などは決まっているが、その具体的な内容や他の経済対策は決まっていない。増税の是非の決断には、国民が納得できる対応と説明が同時に求められそうだ。