中部電力 社員給与カットへ…労組に打診

中部電力が来年度から従業員の給与をカットする方針を固め、労働組合側に打診していたことが31日分かった。浜岡原発(静岡県御前崎市)の停止で赤字が続く中、給与カットでコスト削減を徹底する姿勢を示す狙いとみられる。労組側の反発は必至で、曲折も予想される。

浜岡停止、赤字踏まえ

打診は8月27日付。来年4月から実施したい意向だが、具体的な引き下げ幅は示しておらず、回答期限も設けていない。詳細を検討して正式に提案し、協議を進める方向だ。ただ、給与カットは従業員の士気に関わるため「労使協議には時間がかかる」(中部電幹部)とみられる。

 同社は浜岡原発停止後に火力発電の燃料費が膨らみ、2014年3月期は3年連続の赤字を見込む。経常費用の5割を占める燃料費は円安や燃料価格上昇で膨らみ続けている。給与カットに労使が合意すれば、電気料金の値上げを国に申請する可能性も現実味を帯びそうだ。

 有価証券報告書によると、中部電の13年3月末時点の従業員数は1万6723人で、平均年間給与は801万4814円(賞与と基準外賃金を含む)。取締役については11年7月から年間報酬の15%と賞与の全額をカットしているが、一般従業員については賞与の減額にとどまっている。

 同社は収支改善に向けて今年4月に「経営効率化緊急対策本部」を設置し、保養所の営業停止や社宅の廃止などを打ち出している。給与カットも「検討の対象とならざるを得ない」(水野明久社長)としていた。