菅元首相、原発事故で地検聴取応じず…告発否認

東京電力福島第一原発事故の対応を巡り、業務上過失致傷などの容疑で刑事告発されている事故当時の首相で民主党の菅直人・衆院議員(66)に対し、東京地検が12日に任意の事情聴取を要請したことが関係者への取材でわかった。

 菅氏側は聴取に応じず、週内にも「事故対応に問題はなかった」などと告発容疑を否認する意見書を提出する意向を伝えた。

 関係者によると、聴取に応じない理由は、政府首脳としての災害対応で捜査機関の聴取に応じる前例を作れば、今後の危機対応に悪影響を及ぼす恐れがあるためだという。

 地検は、同様の容疑で告発されている元経済産業相の海江田万里・民主党代表(64)と元官房長官の枝野幸男・衆院議員(49)にも同日までに聴取を要請した。2人も容疑を否認するとみられる。

 同事故では、原子炉建屋で水素爆発が起こり、建屋周辺で作業にあたっていた東電社員や自衛隊員ら10人以上が重軽傷を負ったほか、周辺住民も被曝(ひばく)した。告発では、2011年3月11日の東日本大震災直後から、事故対応の指揮を執った菅氏ら3人が対応を誤ったことが事故を招いたと指摘。特に、菅氏が事故翌日に同原発を視察したことが、放射性物質を含む蒸気を放出する「ベント」の作業の遅れにつながった疑いがあるとしている。検察当局は、当時の官邸内部の状況や3人の認識について確認するため、聴取を要請した。

 菅氏は自著で、視察前に東電がベントを行うことを了承しており、視察の際もベントを急ぐよう指示したと主張している。意見書でも同様の説明をするとみられる。