「激安」にご用心 人気通販、偽サイト氾濫 中国サーバー経由目立つ

20130805-00000078-san-000-7-viewインターネットの有名通販サイトを名乗ったり、運営会社が同一かのように装ったりし、商品を送らないなどの手口で消費者から金をだまし取る「偽サイト」が氾濫している。中国など海外サーバーを経由した偽サイトも多く、被害に気づいても後の祭りとなり、販売元の特定は困難を極める。大阪府警は「『激安』などの誘い文句に安易に飛びつかないで」と、偽サイトへの誘導に警戒を呼びかけている。

 「偽サイトには警告などの対策を取っているが、減るどころか増える一方だ」。ブランド腕時計を専門に扱い、会員数が約10万人にのぼる人気の通販サイト「腕時計本舗」。毎週のように出現する偽サイトに、運営する「パワープランニング」(大阪市)の塩野和常社長は困惑を隠せない。

 「商品が届かない」という消費者からの問い合わせで偽サイトの存在に気付いたのは昨年秋。以降、勝手に「腕時計本舗」を名乗ったり、会社概要に同社の情報を載せたりする偽サイトが次々と生まれ、確認できただけで50件にのぼる。「名前が一緒なんだから弁償しろ」「調べてなんとかしてくれ」とだまされた人からの苦情も多数。「どうすれば止められるか」と塩野社長の悩みは深い。

 偽サイトの手口は、代金を前払いさせて商品を発送しなかったり、偽ブランド品を送りつけたりするケースが多い。警戒心を抱かせないよう人気サイトをかたることもあれば、激安を売りに無名サイトに引きつけるケースもある。

 大阪市の女性会社員(25)は3月末、定価12万5千円の「ルイ・ヴィトン」のバッグが、あるサイトで1万8520円という破格の安値で販売されているのを発見。指定口座にすぐ代金を振り込んだが、届いたバッグは偽物だった。メールで苦情を入れたが、返信は一度もないという。大阪府警によると、偽サイトの特徴は、(1)商品が極端に安い(2)支払い方法が銀行振り込みのみでカード払いや代金引換がない(3)口座名義が外国人名(4)問い合わせ方法がメールのみで電話番号の記載がない−など。

 セキュリティーソフト大手「カスペルスキー」が5月に行った調査では、偽サイトの70%が中国のサーバーやメールアドレスを利用していることが分かった。こうした海外の偽サイトは翻訳ソフトを使用していることが多く、「超速い配達、三日か五日届けます」と、日本語が不自然なこともしばしばだ。

 被害の多発を受け、府警は大手情報セキュリティー7社と協定を結び、7社のソフトを利用している人が登録されている偽サイトにアクセスすると「警告」と画面表示が出る仕組みを開発した。ただ、偽サイトは毎日出現し、いたちごっこの感が否めない。府警は「商品の安さに飛びつく前に、不自然な点がないかチェックして」と呼び掛けている。