ドコモの「ポイントサービス改悪」に泣くのは長期契約者

au、ソフトバンクモバイル両社の「iPhone攻勢」の前に、精彩を欠くNTTドコモ。この6月には契約者数の純減も記録し、その不調を数字の上でも裏づけることになった。しかし同月下旬、現状打破を目論むドコモが行ったのは、“大改悪”といえるサービスの改定だった。

今回改定されたのは、「ドコモプレミアクラブ/ドコモビジネスプレミアクラブ」という2つの会員制ポイントサービス。ドコモには契約者全員を対象としたポイントサービス「ドコモポイント」があり、よりポイントをためやすいのが「プレミアクラブ」というわけだ。

ドコモポイントの仕組みについて、ケータイ料金プランに詳しいライターの後藤一泰氏が説明する。

「『ドコモポイント』はケータイやスマホの基本料金や通話料などの支払い額100円ごとに1ポイントがたまる仕組みです。たまったポイントは100ポイントごとに税込み105円分として、ケータイやスマホの新規購入、修理代などに使えます」

プレミアクラブは入会金や年会費が無料のサービスなので、ケータイの新規購入や機種変更のときにお店に勧められ、多くの人が加入している。“プレミア”というだけあり、メリットもあるのだ。

「プレミアクラブはドコモの長期利用者やヘビーユーザーに手厚いポイントプログラムで、なかでも長期利用者の優遇が特徴です。例えば10年以上使っているユーザーなら、100円当たり4ポイントたまります」(後藤氏)

もう少し細かく説明すると、ドコモプレミアクラブでは、会員のランクを4つの「ステージ」で区別する。ステージの決定条件は、ドコモの利用期間か月々の利用金額をベースとした「ステージポイント」により決められる。種別はエントリーランクの「1stステージ」から最上級の「プレミアステージ」まで4ランクに分かれており、上級ランクになるにつれ、ポイント加算率が増えていく。

つまりプレミアクラブとは、使えば使うほどステージのランクが上がってお得になるサービスというわけだ。ところが、この制度が2014年4月から改定されることになった。

「現行との変更点は、まずステージポイントによるランク分けがなくなります。そして継続利用期間の区切りが5年、8年、10年から、2年、5年、10年になります。また、15年超の利用者区分『グランプレミアステージ』が新たに追加されます」(後藤氏)

今回の改定で、2ndステージ(5年以上から2年以上に変更)、3rdステージ(8年以上から5年以上に変更)には早く昇格できるようになった。一見するとユーザーには耳寄りな改定だが、そこに落とし穴がある。

「今回、ステージ決定にもうひとつの要素が加わるのです。これまでは利用期間を満たしているだけで、2ndステージ、3rdステージ、プレミアステージと昇格できましたが、改定後はすべてのステージで『あんしんパック(月額630円)/おすすめパック(月額525円)』などの有料オプションの契約が必要になるのです。もし契約しなければ、利用期間がどれだけ長くても1stステージの下に新設された『ベーシックステージ』のまま。もちろん、現行のプレミアステージのユーザーも、こうした条件を満たさなければベーシックステージに陥落です」(後藤氏)

しかも、ポイントの算出方法まで変更される。

「これまで利用料金100円ごとにポイントがたまりましたが、改定後はその単位が1000円になります。つまり、プレミアステージでは現行の100円当たり4ポイントが、1000円当たり40ポイントになります。一見、変わらないように思えますが、改定後は100円単位の利用料金は端数として切り捨てられます」(後藤氏)

長期契約者こそ損をする今回の改定。さらなるユーザーの流出を招かなければいいが……。